おやぢめし

「めし」から学び、「めし」から暮らしを切り拓け!

ラーメン横綱と図書カードと・・・

2024年一発目の記事は、2023年の年末にさかのぼった話。

遅番勤務のある日、朝飯を食べずに出勤したので、会社へ行く前に腹ごしらえをしようと、久しぶりに阪急3番街にある「ラーメン横綱」へ立ち寄った。

カウンターに座ると目前に「ああ、ここもか・・・」な物体を確認する。
セルフオーダー用のタブレットだ。
しゃあなしに指で画面をピロピロやり始める。
メニュー選びに始まり、ネギは入れるか入れないか?、麺は普通か固麺か?、わし歯ぁ悪いから軟らかいのんが食べたい思うたら何処押せばエエんやろか?文字で選択肢を見せられたら、つい「固麺」を押してしまうヤツ増えるやろな~と思いながら普通のラーメンチョイスに「固麺」ボタンを押したった。

この店は、オーダーしてから品物が出てくるのが早いのと、刻みネギと辛みそとニンニク入れ放題がお気に入りだ。オレはどうも「もっこす」のニラ胡椒とか、九州ラーメン屋によくある辛子高菜入れ放題とか、薬味を好きなだけどうぞというスタイルの店に通う傾向があるようだ。仕事前なのでニンニクは入れないが。

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汗ダクになって会計を済ませた後、エスカレーターで地上に上がる。
上がったところにある梅田の書斎「紀伊国屋書店梅田本店」の小さな入口の前で、改めて汗をぬぐい、入った正面にあるアルコールボトルからナニして店の奥へ向かう。

今日の目当ては「図書カード」。子供たちへのお年玉だ。

店のおねいさんに売り場所を尋ね、教えてもらったところへ向かった。
季節柄もあるのか、2名ほど先客がいる。
その後ろで待つことにした。
やがて1人が会計を済ませて、オレの順番は「次の次」になる。
目前にはオバハン。着ていらっしゃる服がどこのブランドで、いくらの値段がついていたんだかサッパリ分からない。服の厚みは、ゆうに20センチを超えているように見える。服が歩き、服が買い物をしているように見える。もしかすると、オバハンではなく服なのかもしれない。

カウンターの内から対応するおねいさんは、その服にどの金額の図書カードにするか?また、どの図柄にするか?を尋ねている。
金額と図柄の種類は、A3くらいの大きさに一覧が作られており、カウンターの上に敷かれている。
すると、その服がウンウンと唸りだした。
そのうち、カウンターに腕をついて黙る。
やがて、止まった。

えっ、止まるって?

普段来ることのない人々が闊歩することで巻き起こっている店内の喧騒をよそに、服のまわりにはマッタリとした時が流れている。

3分くらい経ったか、
カップヌードルなら出来上がりだ。
服は動かない。
そうか、どん兵衛やったんか。

出勤時間に間に合わないので、オレはあきらめて職場へ向かう。
「余白」が足りなかったオレの負けだった。