親の心子知らず、子の心親知らず。
子育てを振り返って印象に残る思い出とは親と子で全然違うのね~っと、互いが大人になって酒でも酌み交わしながら喋っているうちに気づいた。
シングルで育てていると、金やら時間やらの余裕が無い。子育ての思い出を振り返ると、暮らしの中において、ほんの断片的な一場面でしか覚えていない。子供たちの印象に残った思い出というのは、忘れてしまった大部分の暮らしにあるということだ。
親も大したことない。
同居している次男が、一人で家を借りて巣立つ宣言をしてからだいぶ経つ。
そろそろ状況が動き出したのか?という気配もあったり、同居していながら生活シフトが全く違ったりするため、一緒に飯を食うとか作ってやることを長い間していなかった。なので、たまには気持ちの入った「おやぢめし」でも食べてもらおうという気になって、仕事終わりに食材を買いに寄った。
せっかくなので、彼の好物でも作ろうか?
唐揚げかな?
子供たちにとっての「思い出のおやぢめし」は、餃子と唐揚げらしい。
で、唐揚げとは「日清からあげ粉」で作った唐揚げだと長男は力説していた。
そこかっ!(涙
そこに寄り添った唐揚げを作ってもよいけど、この日の相手は次男だ。しかも、日清の唐揚げ粉を使って自分が作った唐揚げの出来栄えに一度たりとも満足していなかった。
ストレスを再現させるのか?それは毛根に悪い。
揚げ油の温度の問題なのか?どうにも衣がベチャっとなってしまう。パッケージの写真のようには、何度作ってもならなかった。
パートナーが作ってくれる唐揚げも唐揚げ粉を使っている、しかも水で溶いたやつを使って揚げるのに、カリッカリの出来栄えでひっくり返るほどに美味い。
この差はなんだ?
そうこう思案しているうちに、作ったろうやないかい感が湧き上がってきた。無駄に。
気持ちが先に湧き上がったから、どんなん作ったろうかというゴールラインは無い。
そうやな、もしウクライナのアレで唐揚げ粉が爆値上げされてしもうたらどうしよう?
そしたら、唐揚げ粉なしでも味が安定する「オレの唐揚げ」を作らなアカンな。
肉にたっぷり味が沁み込んでいて、衣は無味で味が足らんかったら塩やスパイスかけて調整して食べたらエエやつやな。
え、そういえば唐揚げ粉って材料は何粉なんやろか?
唐揚げ粉のパッケージをひっくり返して裏側に印刷されている原材料欄を読んでみると「小麦粉」が主成分らしいことが分かった。
じゃ、小麦粉を買って…っと唐揚げ粉コーナーから粉もんコーナーへ視線を移そうとしたその時、チラっと目に留まった商品があった。
「米粉入りでカラっと揚がる・・・・・」
何?米粉?
米粉?
米?
日本人なら米やろ、小麦粉無かったら米使おうや。
ブツは小麦粉と米粉をブレンドしているだけで、他に一切味はついていないってのも気に入ったのでカゴにいれて清算して帰宅した。
鶏肉は大きめに切ってボウルに入れる。
塩、酒、生姜すりおろしたん、ちょっと濃いめの下味つけて冷蔵庫に放り込む。
翌日揚げる1時間以上前には冷蔵庫から出して常温に近づける。
例の米粉入りをまぶして、平底のフライパンに薄めに敷いたオリーブオイルで揚げる。
揚げ色がついたら一旦取り出して、余熱で中まで火を通す。
2度揚げして色が美味しそうになったら、速攻で取り出して皿に盛る。
片付ける前に出来立て揚げたてをビールと一緒にいただく。サラダとか要らない。
割としっかり下味つけたつもりが、食べてみるとそうでもなくて、塩コショウを少し足した。
ここはミュンヘンか!
適当に作ったくせにバリクソ美味い。自分で言うのも変やけど美味い。黒ビールにして良かった。
後片付けせんで良かったら3日に1回は食べてみたい。
もしかしたら店出来るんとちゃうか。
ただ、出来栄えは常に変わるやろうから。
店の名前は「一期一会」。